恋どろぼうのセクシーアドベンチャー、10話目の今回はルパンのWデート。
シリーズヒロインであるレベッカと宿命の女たる不二子、二人の女の間で道化を演じつつ、媚薬ワインの謎をコミカルに追いかける話でした。
ルパンのシャドウであると同時に、不二子のシャドウでもあるレベッカのキャラを、女二人を絡ませることで更に掘り下げていくエピソードになりました。

今回のお話は謎の媚薬ワインをドタバタと追いかけ回しつつ、強気にルパンを振り回していた女達がいつもまにかルパンに夢中という、逆転のラブ・コメディを楽しむ作りになっています。
各話完結アニメの利点を活かし、毎回ジャンルを変えたバラエティ豊かさが強みなこのアニメですが、今回はアップテンポなBGMを小刻みに変えた、トーキーコメディのような楽しさ重点。
序盤のWブッキングに苦労するルパンの姿で笑いを取ったり、樽を巡る小さなミステリを考えさせたり、コンパクトでしっかりした話作りは、相変わらずルパン2015らしい堅牢さ。
エロ同人の便利アイテムのようにあっという間に発情させる『恋煩いのブタ』の魔力も手伝って、艶笑譚的な空気もあります。

全体的にライトな空気がドタバタと進む中、ルパンをめぐって女達は対立したり、共感したり、不思議なダンスを踊る。
強く賢いファム・ファタールのアイコンとして、約45年ルパンを振り回してきた不二子。
その重さを受け継いで、現代風にリファインされたレベッカ。
強い女達のキャラを崩さないよう、そしてそんな女達がクルリと態度を変える逆転の面白さを目立たせるよう、ルパンは道化役に徹し、常に彼女たちに振り回されます。
時にツンツン時にデレデレ、自由勝手に踊る彼女たちは主導権を握っているように見えて、その実ルパンという中心軸がなければ踊りきれない、不自由な立場でもある。
「女のプライドを守るのも、楽じゃねぇや……」と一言言わせることで、一瞬だけ道化の仮面を外させる作りにしたのは、苦労して二人のホスト役をやりきり、コメディをコメディとして成立させた主役に報いる、良い展開だと思います。


二人の女が対立(というか没交渉か)しているのは実は序盤だけで、Wデートがバレないよう苦心惨憺して走り回る状況が破綻すると、彼女たちは魂の姉妹としてお互いの顔を見始める。
レベッカは45年間続いてきた『ルパンというもの』『峰不二子というもの』のエッセンスを上手く抽出し、綺麗に反転融合させてキャラクターの形に仕上げた、完成度の高いシャドウ。
第1話でルパンと対話して自分の属性を公開していったように、不二子と樽を奪いあう過程で自分がどんな女で、何を持っていて何を持っていないのか、視聴者に見せていきます。
色仕掛けより泥棒、スタイリッシュなアクション、ルパン三世へのリスペクト、少し足りない狡知、秘められた過去。
ファム・ファタールの大先輩である不二子と踊ることで、ルパンでは掘りきれないレベッカを見せていくのが、今回のお話のもう一つの軸だったように思います。

不二子は『永遠に追いつけない、最高のお宝』という重たい役割を担っているので、より人間的な側面、一種の『弱み』を見せるのは新参者たるレベッカになるよね。
逆に言えば、アイコン化してしまっているルパンと不二子に担当できない部分を背負うべく、シリーズヒロインとして生み出されたのがレベッカとも言える。
彼女を掘り下げることでシリーズ全体の骨格も見えてくるというのは、不二子がレベッカの過去の恋を問うた今回を受けて、次回すぐに大きなシリーズが動き出すことからも分かります。

考えてみればクールも終わるわけで、これまで撒いてきたレベッカ関係の伏線を回収するには良いタイミングかもしれません。
しかし大きな話が終われば、キャラクターが作品に存在する理由も薄まるのが劇作の宿命というもの。
今回掘り下げられたことでレベッカはさらに魅力的になったと思うので、後半クールでも出番があると個人的には嬉しいのですが。
そういうところも引っくるめて、次回以降の前後編、とても楽しみです。