いきることは闘いだ

だから幸福はとどまっていない

ケアワーカーの両手が開かれ

いま誰かのことを包み込んだ

怪我を与える与えられるというそんな

駅のホームで

いきることは闘いだ

わりばしの袋にそう書き込んですぐに丸めてカバンに入れる

駅では至って細身の駅員が

どうぞわたくしに乗ってください

と 微笑みかける

乗ったらあなたが壊れるのじゃないか と 言いかけた けど

駅を見たら

3人の駅員が30人の駅員が300人の駅員が

3本の肋骨が30本の肋骨が300本の肋骨が

線路になっていた

駅員の身体によって組み立てられた電鉄なんです

ときどき汗かきますけど気になさらずに

どうぞわたくしに乗ってください

と 

それはとっても大きな器ね

駅員の胸はあたたかくって大きくってわたしはそれがまるで気球の夢見る大空みたいな気がしていましたわ・・・・

ひとは器で大きさを変える

駅員の大きさに広がるわたし

わたしの重みできしむ駅員

いきることは闘いだ

足元に絡みつくよくわからない粘性のある草

いきることは闘いだ

11時45分から12時の間に死が挟まれる

もうこれ以上殴らせないでくださいと酔っ払いが叫ぶ

痛くないんですこの唇も ただじぶんの気持ちがよくわかりません なぜか涙が出るのですと駅員がつぶやく 血を拭きながら

いきることは闘いだ

いきている駅員がそこにいることがまるで神々しい奇跡みたいに

まぶしいね

まぶしいね

ああ鉄道が時間通りに来ることが ただ まぶしい

大きな大きな駅員が

どうぞわたくしに乗ってください

と 微笑みかける

どうもすみません今日のところは乗せさせていただきます

と SUICAが鳴った

つつがないことの安らぎが終電の明かりになって西へ東へ

とまらなかったね

なぐらなかったね

しななかったね

しななかったね

どうもおやすみなさひ今日のところは

どうもおやすみなさひ